雪に埋まった酒はどんな味になっとるんじゃろうかのう
もうすぐ桜の季節じゃろ?
桜といえば宴会・花見酒という方も多かろう。
実はこの間、とある仕事(?)の関係で、横手市の旅館平利さんという所にお邪魔した時に、女将さんの知り合いの蔵元で、雪室の中で熟成させる「雪室氷点熟成生酒」というモノがあるというお話をうかがいましてな。
それで今回は是非その生酒を拝見(拝飲?)してみようと、由利本荘市矢島町にある「天寿酒造株式会社」さんにお邪魔させて頂いたんじゃ。
実はワシ、酒はそんなに飲む方ではないのじゃよ。たしなむ程度というやつじゃな。なので、正直あまり詳しくないのでその辺はあしからずじゃよ。
平利の女将さんのご配慮で、天寿酒造の社長さんをご紹介いただき、社長さん直々に蔵を案内して頂く事になったんじゃが、社長さんからいきなり衝撃の一言。
「雪室は保冷のため、断熱材で周りを囲ってあるので見れないよ」
なぬ!?
いや、先に確認しなかったワシが悪かったんじゃが、トホホじゃのう。
で、詳しくお話を伺うと、2月に封印した雪室を、4月の下旬頃に解禁しているそうで、それまでの間は雪が溶けてしまわないように断熱材で厳重に囲ってあるので、雪室や中で氷温貯蔵されているタンクを見るには、2月の酒造開放の際の雪室封印か、来る4月下旬の雪室開封のタイミングしかないとの事。
ちなみに今年H21年の雪室開封は4/24(金)の10:00〜12:00。この雪室開封イベントはどなたでも参加自由で、開封した生酒を自分でビンに詰める事ができるという面白い内容になっておるそうじゃ(1本720mlで1,365円・空瓶は天寿で準備)。
また、酒蔵での開封イベントの他にも、由利本荘市・秋田市などの飲食店や由利高原鉄道「おばこ号」を貸し切っての解禁パーティーなども催されるとの事なので、美味しいお酒を楽しみたい方は是非そちらにも足を運んでみてくだされ。
さて話は戻るんじゃが、この「雪室氷点熟成生酒」というのはどういった特徴の酒かという事を皆さんはご存知じゃろうか?
たしなむ程度のワシには、そもそも生酒って何?ってことすら正確に答えられんわけじゃが・・・
日本酒というのは、まあ簡単に言うとお米を発酵させて作るんじゃが、醸造した酒の中にはまだ発酵の元となる酵母(酵素)が生きて活動しておる。この酵素を「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理をする事で失活させて酒質を安定させる訳じゃが(そのままだとどんどん発酵が進んでしまうんじゃな)、生酒というのはこの「火入れ」を行わないタイプのお酒のことをいうそうじゃ。
生酒は、火入れしたものに比べ、みずみずしくて香りも華やかじゃし、喉越しも良いという特徴があるんじゃよ。
で、今述べたように貯蔵中も、酵素の働きによって熟成が進むわけじゃが、コレを氷温にする事で、ゆっくりと熟成が進み、よりまろやかな味わいになるというメリットがあるそうなんじゃ。
ちなみに貯蔵中のお酒の温度は、ちょうど0度になっておるそうじゃよ。
繰り返しになりますが、この氷温貯蔵で熟成されたお酒を飲みたい方は、ぜひ4/24の雪室解禁イベントにご参加くだされ。
残念ながら雪室は見れんかったのじゃが、大井社長さんに酒蔵の中を色々と案内してもらって楽しい体験をさせて頂く事ができたので、ワシ的には大満足な1日じゃったわい。
特に、仕込み中のタンクが並んだ部屋は、お米とは思えぬフルーティーな香りが充満して何とも幸せな気分になれましたぞい。
酒蔵見学は事前に相談すれば、案内してもらえるとの事なので、皆さんも機会があれば是非一度お邪魔してみてはいかがじゃな?
酒造りの現場だけでなく、昔の酒造りの道具などを展示したコーナーなどもあって非常にタメになりますぞ。
戦利品として、天寿の自信作「純米吟醸 鳥海山」を頂いて帰ることになったんじゃが、このお酒はISC金賞、IWC銀賞、NSA銀賞と国際的なコンテストでトリプル受賞したという実力の一本との事じゃ。
なんでも、15度くらいが香りや味が膨らむ適温なので、ぜひその位の温度で味わってみてと大井社長さんのアドバイスじゃった。
鳥海山麓の伏流水と美山錦の特上米を原料に作られたコチラのお酒、女性でも楽しめるような爽やかな飲み口でしたぞ。
由利本荘には勢至公園など桜の名所が色々ありますからな。花見酒にはぜひ天寿酒造の酒をオススメしますぞ。